さて、三日目は後藤さんのお友達がマヤグスクの滝に行くというので、そのお友達のガイドさん(隆星くん)に頼んで同行させてもらうことに。

西表はこんな風につながってつながって、いつの間にか知り合いや友達が増えるので不思議です。最初に旅行に来たときも、二回目に来たときも、そういったつながりで私はどんどん島を好きになり、住みたいとまで思ったわけです。ただの旅行でこんなに友達ができる場所は、そうそうありません。

そんなわけでマヤグスクに行くことになったのですが、私たち(後藤さんと私)、沢靴は事前に借りて準備しておいたものの、他は何も聞いていなかったので普通の動きやすい汚れてもよい服で行きました。そうしたら途中足首まで埋まる泥があったり、同じく足首が濡れる程度の川を渡ったり、顔にかかる草をかきわけたり、そんな険しい行程です。まぁ汚れるのは想定内です。そうして片道約三時間、足も上がらなくなってきた頃、やっと見えた岩棚は圧巻でした。やっとゴールだ!と思ったのも束の間、
ガイドの隆星くんはその大きいマヤグスクの滝を登っていきます。

え?!ここ登るの?!と思いながら、全身水しぶきで濡れながらついていきます。いやでもまぁ、ここまではまだいいんです。滝の上からの景色も最高でした。そして登ったさらに奥を見ると、まだ小さな滝があります。岩棚も両側にそびえ立ち、幻想的な空間です。すごいなぁ~と見ていると、突然隆星くんが「荷物全部置いて、行きましょう」と、その先に歩き出しました。訳が分からず、とりあえず一眼レフは置いて、でも私は写真は撮らなきゃいけないから携帯だけ持っていくと……歩いては行けません。

足のつかない滝つぼに飛び込んで、泳がないことには先に進めないことを知りました。ここで私はようやく理解しました。カメラどころじゃないし、普通の服で来るところじゃないということを。いや、しかし多分普通のツアーだとここまでは危険なので来ないでしょう。マヤグスクの滝の下までくらいじゃないのかな。だからまぁ、仕方ないっちゃ仕方ない。あとで一緒に歩いた女の子に
聞くと、最初挨拶したとき、私たち二人の服装があまりにも普通なので驚いたのだそう。彼女は事前に全身濡れることを聞いていたんだとか。

そんなわけで私はポケットに入れていた携帯やら他の細々したすべてを出して、みんなのあとについて滝つぼを泳ぎました。みんなはさらに崖を登ってそこからの景色を楽しんでいましたが、私は服装も服装だったので、大事をとって最後の崖は断念しました。崖を登ったその先をずっと歩くと、地図にもポツンと載っている「幻の湖」につながっているそう。なるほど、だから幻なのか。今回はそんなところまで行く時間も予定もなかったので、マヤグスクの滝の上でランチをとって帰りましたが、今度は行ってみたいなぁと思いました。11月の日本で泳ぐなんて想像もしていませんでした。つくづく吃驚な島です。

3-1 泥の沼足首まで埋まる泥の沼を歩く

3-2 岩棚マヤグスクの滝を登ったところから見上げる、美しい岩棚

3-3 マヤグスクの滝西表島のほぼ真ん中に位置する秘境、マヤグスクの滝

少し休んで回復したとは言え、やはり疲労の溜まった脚。みんな何度も足をひっかけながら、また三時間の道のりを戻りました。疲れた足に泥の沼はこたえます。行きよりも口数は減れど、しかしあそこまで共に歩いたという達成感と団結力が漂っていました。

私はその日の船で石垣に戻らなくてはならなかったので、なにがなんでも浦内川の最終の遊覧船に乗らなければならなかったのですが(私に限らずみんなそうですが)、帰りにマリュドゥの滝の展望台に寄る時間もあり、比較的余裕をもって帰り着くことができました。といっても、終始ハイペースで歩いてましたが。

今回の拠点は大原だったのですが、帰りは大原港まで戻っている時間はないので、上原港から石垣行きの最終便に乗りました。港では偶然前の職場のお知り合いにも会い、クラブハウスカフェの望月さんにも会い、そして一緒にマヤグスクに行った後藤さん含めた四人に見送ってもらい、とても嬉し寂しい締めくくりとなりました。船から見た夕日がきれいでした。四人のうち二人も西表の数ヶ月の滞在期間を終え、そろそろ内地に帰ると言っていましたが、一人は夏前にまた戻ってくるし、もう一人も
また戻ってくるつもりのようです。こんなに多くの若者を魅了する西表島って、本当にすごいなぁ。

このような素晴らしい機会をいただいて、私が移住したあとどのような活動をしていくか、まだまだおぼろげですが、またひとつやりたいことが形を見せてきました。写真活動は大前提なんですが。とにもかくにも、この雄大な自然の島に住むからには、そこに生きる動植物を大切にしていきたいと思います。移住者や観光客が増える中で、それらをどのようにアピールし、かつ守っていくかという問題は西表に限ったことではないでしょう。都会を離れて島に住むからこそ、「考える」ことをやめてはいけないのだと思います。私も拙い頭でまだまだ考えて、生きていきたいと思います。

ちなみに今回西表で撮った写真は、後日、大原にあるシェアオフィス「ぱいぬしまシェア」で展示公開されます。日程が決まったら改めてお知らせします。西表に住んでいる方も、住みたいと思っている方も、観光で遊びに来ている方にも、お越しいただければ嬉しいです。