台風18号が未だに本州を北上中ですね。
実は今年の18号は西表島と宮古島の間を通過しまして、西表島は宮古島のそれほど被害を受けずに済んだんですね。
と言っても途中までは西表島に直撃のコースだったので、台風準備の警戒度はMAXだったんです。

お部屋を借りているご主人の指示のもと、大原と美原の「かまいとぅーや」の店舗を丸一日かけて雨戸を閉じ、外に置いてある道具は中に入れ、目張りをしてトタン屋根に鎖を張る。

今まで「台風」といえば、電車が止まったり会社や学校が休みに(会社は台風でも出勤させられたけど)なるくらいのイメージしかなかったぼくには、注意の払い方や質が違いすぎて驚かされました。

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台風前の不穏な空気

台風の通り道

日本にくるほとんどの台風の通り道になっている八重山地域では、そもそも危険の感じ方が違うのも当たり前かもしれません。
車が横滑りし、牛が飛ばされ、小屋が丸ごと横転する。

風速70m(ぼくは経験ないですが)の台風の通過中、一番に怖いことは「音」だそうです。
窓や屋根が唸り、軋み続ける音を、どんな被害が出るのか、何が起こるのかわからない不安の中、聞き続ける事が心底怖い事だ、と島の先輩が教えてくれました。
だから「台風」と聞けば存分に備えるわけです。

台風が通った後は…

そんな台風が通った後には、農作物は全部倒されてしまう。
西表島のように温暖な気候があれば、いろんな作物が育てられるのですが、農家さんがなかなかやりたがらない理由の一つにこの台風があります。
毎日作業して気持ちを込めて育てた野菜が、たった数日でダメになってしまった時の絶望感は、表現のしようがないそうです。

なので、台風に煽られても比較的丈夫なさとうきび、パイナップルなど、風に強い作物が八重山に残り定着していったわけです。

風で倒されるのはもちろんですが、海で竜巻のように巻き上げられた海水が雨風と共に畑に降り注ぎます。
しょっぱい風と雨が降るわけです。つまり、塩害です。
植物は塩に弱いんです。

これはぼくも見た事がありますが、台風の後には不自然に葉っぱだけが枯れていて、茎だけが残っている植物がちらほら見られるのですが、実は葉っぱに塩入りの風が当たってそこだけが枯れてしまったものなんですね。
植物が光合成するのには葉っぱが必要ですが、そこを破壊されてしまう。
パイナップルなんかは、葉っぱが塩害にやられると糖度が上がらなくなって大変なんだそうです。
こればっかりは防ぎようがないのかもしれませんね。

台風の不思議な効果

実はそんな台風にも、良い面があります。
一つは作物にとってある程度の刺激は成長促進になるという事。
実際にお花の面倒を見ている方や、サトウキビ作りの農家さんから聞いたのですが、多少枝が折れたり傷つくと、植物は弱った部分を補おうとするかのように活発になるんだそうです。

以前にもお手伝いしていた農家さんで手伝ったゴーヤーの剪定、西表島に来てから知ったブーゲンビリアの育て方、ぼくにもその経験があります。
今回の台風が過ぎ去った後などもサトウキビ農家さんにとっては良い兆候があったようでした。

そして、海水がかき混ぜられる事。
これはサンゴに興味がある方はご存知かもしれませんね。
実は台風が来ないと、海の水温が上昇しサンゴの白化を招いてしまいます。
なので、適度に台風が来るという事は、自然をそのまま保つ、という効果もあるという事ですね。
ちなみに台風が近づくと猪の動きも活発になり、罠にかかりやすくなるそうです。
風で木の実が落っこちる事をどうやら知っているようで…。

台風がいくつ来て、被害がどれくらいなのかを数えるのも大切な事です。
被害に会われた方には確かに気の毒です。ぼくもここに住んでたら、いつかは大きな台風にぶつかる予感もあります。
しかし、そもそも一辺倒に台風の働きを嫌がっているのは、わりと人間だったりするもんです。

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台風が過ぎて朝焼けの大原港