あれは、2014年の夏。年2回西表島に訪れるスタイルが固まり、一人でジャングル沢歩き
するのにも慣れてきた頃…。

お気に入りのポイントからの、帰り道のことでした。
「いつものルートも飽きてきたな~」と、慢心した心でつぶやいた私は、陸地に巻くのをやめて
川だけを下って県道まで戻れるかやってみよう!と決心。流れに沿って歩き出したのでした。
ハイ、おバカちゃんでした。
誰も通らないところには理由があるというのに…(><)

川を下り出して10分もたった頃、だんだん大きな石が目立ちはじめ、とうとう1つ2~3Mはある
巨石群が行く手を阻みました。

bigstone

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

左右は切り立った崖。後ろを振り返ると、ルートを外れた場所はもう見えず。
戻るのは大変だな~と思った私は、乗り越えて向こう側に行けるポイントはないかと、
巨石によじのぼったり戻ったりしながらウロウロ。

そして、何とかなりそうな岩と岩の間を発見!エイッとよじ登り、苔で滑る左右の岩に
手をかけ、慎重に、慎重に、少しずつ向こう側に滑り降りようとしていたその最中、
先ほどから付きまとっては腕やら脚やらチクチク刺してくるくる虫が、顔面めがけて来襲!
やーん!!ε=。 ゚(゚´Д`゚)ノ゚。
振り払おうと、右手を岩から話した瞬間…!
ズルッ! アッ!? ドンッ! ゴンッ!

次の瞬間、2~3m下の平らな岩場に仰向けになっていた私。
驚きすぎて、しばらく青空をなすすべもなく見上げ…

sora

 

 

 

 

 

 

我にかえると、すごいキョーフと無力感と痛みが、一気に襲ってきました。
「私、落ちた…!痛い…!(゚◇゚///)」
こんな、ルートから外れた、誰も通らない巨石だらけの川の真ん中で、
脚の骨でも折れて動けなかったら、どうなるの…??
夜になったら!?水かさが急に増したら!? 虫や蛇に襲われたら!?
…って、そんなん考える前に、とりあえず、立て!立ってみろっ!私!

おびえる「自分A」と、叱咤する「自分B」が、昔のアニメに出てくる
左右の天使と悪魔みたいに、自分の中でせめぎ合った。マジで。
おそるおそる、立ちあがってみた。良かった、立てる。
右脚、右腿、右肘、頭、打ち付けたところを全部触ってみた。
良かった、痛いけど、どこも折れてない、たぶん。血も出てない。
でも、身体のすみずみまで震えが止まらない。((( ;゚Д゚)))

一歩踏み出す。良かった、歩ける。
「大丈夫。大丈夫」自分BがAを励ますのを聞きながら、ずんずん歩き出した。
幸い、巨石ポイントはそこで終わり、普通の河原が続いている。
でも、自分の一歩に自信が持てない。
やみくもに歩くから、水の中の石を踏む足元がぐらつく。
でも、止まれない。止まったら帰れない気がして。
よろよろ、グラグラ、歩き続けた。

さすがにこれじゃー危ないわ、と自分Bが一旦停止しようとしても、
アドレナリン出まくりで自分Aがいうことをきかない。
「どうしよう!止まれない!」自分Aまでがパニくりかけたとき、
「そうだ、タバコ吸おう!吸いたい!今こそ――(゚∀゚)――!!」
…AとBが同時に思ったとき、ぴたっと止まることができた。

適当な岩にゆっくり、震えながら腰を下ろす。
ただただ、水の文様を見つめて、すー、ぷは~…ぷは~…す~。
( ̄△ ̄)y─┛~~~~~ タバコニスクワレタ。。。

「ゆっくり足元を確かめながら歩こう、まだ日も高いし、大丈夫」
自分Bの励ましに自分Aもやっと落ち着き、携帯灰皿をしまって再出発。
見慣れた風景が目に入ったときは、どんなにホッとしたことか…。(ノ◇≦。)

tree

 

 

 

 

 

 

…で、なぜこんな数年前の出来事を書いているかというと、自然を舐めたらあかんよ!
という啓蒙活動でもなく、JT(日本たばこ産業)とかの回し者とかでもなく、
私、自分の移住は、この時ジャングルに「マブイ」を落としてきたせいもあるのでは、
と思っているのです。

「マブイ」または「マブヤー」とは沖縄の方言で「魂」のこと。
あまりに驚いたり、ショックなことがあったりすると、人はそこに魂を落っことしてしまい、
気が抜けたり、落ち着かないような状態になってしまうと信じられていて、魂を戻す呪文を
唱える儀式を、マブイを落としたその場所でしなくてはいけないそうなのです!

落下直後の私は放心状態で、まさしくマブイを落としたに違いありませんw
そして、東京に帰っても毎日西表島に思いを馳せ、春に夏にと通い続け、
2016年の春、とうとう移住。

思うに、落ちて砕けて散らばった私のマブイの欠片たちが、ジャングルのあの水辺から、
私を呼んだのではないでしょーか…

そして私は今も、ことあるごとにジャングルに出かけ恥ずかしいのでコッソリ小声で
呪文をつぶやくのです。
「マブヤー、マブヤー、戻ってきてください!」と。

gishiki

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

※写真はすべてイメージです☆